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12/01/2007

浦和0-1横浜FC、切れてしまったもの。

ほぼ掌中に収めていたはずのものが、最後の最後、するりとこぼれていった。
斯くも鮮やかな大逆転劇の前に、怒りもない。負けて当然の試合になった。現地(日産スタジアム)に漂った虚脱感はいかばかりだったろう。ACLを獲って以降、4ゲームで勝ちなし、得点はわずかに1点、失点は4。これが現在の浦和の実力なんだろう。
クラブワールドカップ出場を決めたゲームでぷつりと切れてしまったものとは、いったい何だったのだろう。

最終戦の相手は横浜FC。契約延長されなかった元代表の山口と小村が先発してきた時点で、ひょっとしてひょっとしてしまうんじゃ...の危惧は一層現実味を帯びてきた。王者を前に、既に何も失うものがないないチームと、優勝を目前に絶対に勝たなければいけないチームのメンタルを比べることはできないけど、その質の違いは当然プレッシャーの差に現われていた。
横浜は自分たちにできることに徹して自分たちのゲームをし、最後まで約束事が統一されていたていたけど、浦和は最初から浮き足立ち、何かを見失っているようなゲームになっていた。

リズムらしいリズムもなく中盤はほとんど機能せず、逆にプレスをかけにいこうともしない。長谷部のスピードに乗った絶好のスルーパスに永井が追いつけない(もともと永井は初速の速い選手ではなく、あの時そこにいたのが平川だったら...とか思っても詮無い)。ワシントンはキープこそすれど、決めきれずラストパスも送れず、例によって挟まれて奪い返されるパターンの繰り返し。

それでも執念はあった。とくにワシントンの、相手ボールをひたすら追う姿にはグッとくるものがあったし、前半、(相手の)左でよりによってカズに縦に千切られて失点に繋がるミスを犯した阿部のそれ以降の攻守にわたる集中には、鬼気迫るものがあった。J1、ナビスコ、天皇杯(1ゲームだけだったけど)、A3、ACL、そして代表までこなし走り通した啓太のフィジカルには頭が下がる思いだ。

疲弊しきった身体でどうこう考えても、これ以上何の発展も望めないだろう。といって今季失速の翳りが見え始めてから何も策をうたなかったオジェックに、今さら何を求めようか。
クラブワールドカップのゲームまであと9日ある。とにかく少しでもメンタルも身体も休めて欲しい。切れてしまったものを、もう一度つなぎ直してほしい。
怒濤の9連勝で逆転優勝をもぎ取った鹿島の、あきらめない意志の強さから僕らも何か学ぶものがあるんじゃないかと思う。

December 1, 2007 in reds |

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» vs.横浜FC(2007J1リーグ最終節) from 中空庭園
レッズ 0-1 横浜FC(NHK総合) うーむ、この敗戦はキツイ。悔しいとか残念 [Read More]

Tracked on 2 Dec 2007 00:16:59

» エルメス from
やっぱりエルメスですねぇ。 [Read More]

Tracked on 2 Dec 2007 02:40:47

Comments

いやもう、参りました。まさに虚脱状態。
本当なら今頃は優勝おめでとうコメントの交換を
しているはずだったんですけどねー。
今季のオジェック采配に関しては、なんというか
「必要悪」と捉えていたのですが、最後の最後で
裏切られた気分です。しくしく。
CWC、なんとでも意地を見せて欲しいですね。

Posted by: yuji | 2 Dec 2007 00:24:03

>yujiさま
一日あまり経過しましたが、ふっと気付いたらどこかにぽっかり穴があいている、という感じで。いつもゴール裏で応援していたサポはいかばかりかと.....
とにかくCWCへ向けて、メンタルコンディションを立て直してほしいですね。

Posted by: kiku | 2 Dec 2007 21:47:36

最終節の前に鹿島に負けたとき、最下位の相手と最終節は、楽勝と言うよりも変に厳しいような感じがしていましたが、本当に負けてしまったのでビックリでした。
オイラは秩父宮でラグビー観戦をしながら、ネットでJ1の進行状況を観ていたのですが、なんか満身創痍で限界点に達した浦和と、昇り龍の鹿島の差が出てしまいましたね。
それでも、浦和は日本ではナンバー1であることには変わりないのですが、トヨタカップではアップセットを期待したいです。

Posted by: nobuta | 2 Dec 2007 23:27:03

最終節の前に鹿島に負けたとき、最下位の相手と最終節は、楽勝と言うよりも変に厳しいような感じがしていましたが、本当に負けてしまったのでビックリでした。
オイラは秩父宮でラグビー観戦をしながら、ネットでJ1の進行状況を観ていたのですが、なんか満身創痍で限界点に達した浦和と、昇り龍の鹿島の差が出てしまいましたね。
それでも、浦和は日本ではナンバー1であることには変わりないのですが、トヨタカップではアップセットを期待したいです。

Posted by: nobuta | 2 Dec 2007 23:27:04

kikuさんの心配していた通りになってしまいましたね。僕もなんだか嫌な予感がして、NY時間の朝早く、ネットを開いて敗戦を知りました。kikuさんの文章から、心身の疲労にぎりぎり耐えていたプレイヤーたちが切れてしまった様子が想像できます。ともかくCWCで浦和らしさをもう一度見せてもらいたいものです。

Posted by: | 3 Dec 2007 11:51:35

>nobutaさま
いいですね、本場でラグビー観戦。花園で現地観戦したの、もう4年前かな。また観たいっす。
今となっては既に降格の決まっていた最下位チームとの対戦という要素は言い訳にしかならないですね。。。鹿島に負けたことがすべてだったのでしょうね、啓太の言っていた通り。とにかく金曜くらいまでは英気を養う事に徹してもらいたい、という気持ちです。

Posted by: kiku | 4 Dec 2007 00:13:51

>雄さま
なんかほんとうに、ぷつり、と何かが切れてしまっているようなゲームが続いていました。ベンチも選手たちもそれに気付いていたはずなのに、まずそれを具体的にどうこうしようとする者はいなかったようです。
メンタルトレーナーとか、そういう立場の人がベンチにいてもいいのにな、とか思いました。
でも多分、ブルックリンドジャースがロスアンゼルスに移ってしまった時の喪失感に比べたら...(笑)

Posted by: kiku | 4 Dec 2007 00:23:44

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