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02/29/2008

February 29, 2008 |

なぜ「中国人の99.99%は日本が嫌い」なのか、やっぱり分からない。

この時期にまできてアメリカ公聴会で「中国は五輪を開催するのに相応しくない」と断じられ、北京五輪を控え国際的な不安をかき立てないためにもギョーザ事件の真相を「薮の中」に葬り去ろうとし、先日重慶で行われていたサッカー東アジア選手権ではおよそサッカーとは言えない、むしろただの子供の挑発と喧嘩だろう?という行為を乱発したことで東アジア・サッカー連盟から制裁金を課せられ、中国が(今さらってわけでもないけど)ことに最近きな臭い。
ギョーザの事件に関しては、科学に政治が介入してきていることでうやむやになりつつあるのは確かなようで、心理戦の様相も呈してきた。

東アジア選手権では、自国での開催でありながら地元のテレビ放映にはタイムラグがあったらしい。自国チームの悪質なファウルなど、印象的に不利な局面をカットするためだ。そういう情報規制(操作)はもう、あからさま。周知の通り、中国からはネットでウィキと2ちゃんに入ることができない。
どうも、大した実力もないのに変にプライドばかりが高い勘違い野郎、といった趣で、過去に某知事が「民度が低い」と切っていたことを思い出す。

それでも昨日、1947年の2・28事件の被害者に国民党が謝罪し(1995年の李登輝総統以来)、案外人間社会上のリテラシーあるんじゃん?と思わせるけど、これはこういう時期だからこそのパフォーマンスなのか? 五輪を間近に控えたこの時期、対外的にここはもう一度謝罪しておいた方がいいだろう、というような。

サッカーにおける中国サポーターの日本への罵倒ぶりが気になって、「中国人の99.99%は日本人が嫌い」という本を図書館で借りて読んでみた。ちょっと、このへんの(日本が関わる)歴史には疎いので。著者の若宮清氏は現在早稲田大学社会システム工学研究所客員研究員。ググってみたら分かる通り、かなりうさん臭い人物なんだけど、本の内容はまともで、読ませるし、面白い。
それにしても、ストレートなタイトルの本ですね(笑) 作者の思い込みばかりが先行しているんじゃないかと危惧するような。実際、そう感じさせる文体の部分も多いのですが、内容はあくまで史実に基づいている。

結局この本の中で分かるのは、「民度が低い」などと言われるのは資質なのではなく、情報操作に基づく歪んだ教育の結果だということ。なぜそうなってしまうのかと突っ込まれたら、決して謝らない・平気で嘘をつく・誇りばかりが高い・過剰な自己主張をする、という民族のDNAに因する、ということのようだけど、同じ人間としてそれはひとつの側面でしかないのじゃないか?
それにしたって

中国では、勝者によって歴史は常に捏造されてきた。捏造された歴史であっても100回繰り返せば真実になる。中国人ならそう考える。(P159)

というのは感覚的に理解しがたい。捏造は捏造でしかない。
それを「捏造だったんだ」と真実を知る機会があるのはネットの中にこそであろうし、あるいは留学生という立場にいる人たちに与えられているのだろうけど、なんとか中国のネット・リテラシーの高い人たちに頑張ってほしいところ。

それにしてもやっぱり、何故中国人の99.99%が日本を嫌いなのか、その構造が分かりにくい。

追記:
この本の視点とは違うけど、この記事も興味深かったです。
中国人が「最も嫌いな国」は、日本ではなくなった!
毒入り餃子事件を中国人は本当はどうみているか?
(以上、DAIAMOND online より)

February 29, 2008 in books | | Comments (0) | TrackBack (0)

02/27/2008

「名もなきアフリカの地で」

観ようと思っていたわけでもないけど、深夜テレビを観ていたら放映されていて、その映像の美しさに引き込まれ、見入った。
2001年アカデミー賞外国語映画賞受賞のドイツ映画。

第二次大戦下のドイツ、ナチスからの迫害から逃れるために故郷を去りケニアに渡ったユダヤ人家族の物語。
この時代のドイツの暗く透徹したような空気感を、フィルム処理として「銀残し」を使ったのじゃないかと思わせる青白い映像で再現させ、電気の通じていないケニアの家ではランプの明かりだけで黒人たちの肌を息づかせている。もう、ほんとに美しい映像。

が、この映画がアカデミー賞まで獲ったことには疑問。物語自体の壮大さに比較して、主人公たちの心理描写におけるカットつなぎに無理がある。時折独白を交えてつなげようとしているけど、脚本の全体が練られていないからシーンの一つ一つには際立つものがあっても、通して観るとところどころ綻びが目立つ。スケールの大きさに、脚本が追い付いていない感じ。せっかく皆素晴らしい演技を見せているのに、残念。Nowhere

アフリカを舞台にした映画ではシドニー・ポラックの「愛と哀しみの果て」(しかしひどい邦題だね)という傑作があったけど、題材が違うとはいえ、構成の緻密さにおいては圧倒的にポラック作品が上。イーストウッドの「ホワイトハンター ブラックハート」は面白かったけど、これもポラック作品にはおよばない。昨年の「ブラック・ダイヤモンド」は観ていないけど、アフリカを舞台にして先進国が映画を撮るのは、ちょっとまだリスクが高いのかな、と感じさせた。

公式ホームページ:名もなきアフリカの地で

 

February 27, 2008 in films | | Comments (0) | TrackBack (1)

02/26/2008

積み上げたものがなかった東アジア選手権。

ずいぶん遅くなったけど、東アジア選手権のこと。オシムが倒れて以降、親善試合を含めて6試合をこなしたわけだけど、質は明らかに後退してしまった。岡田監督になって最初のチリ戦、その後のボスニア戦で出来ていたことが、東アジア選手権ではまったく出来なくなっていた。日本に対してのプレスが激しいだろうことは予測出来ていただろうに、全然動けず、畏縮したような様子も窺え、だから(武器であるはずの)ショートパスが繋がらない。まあ、ひどかった。

中村俊輔も松井も闘莉王も高原もいない大会でどれだけ上積みが乗せられるか期するところは(中盤において)大いにあったはずだけど、ため息も出ない。初戦の北朝鮮戦など、あの地に足のつかなさはどうしたもんだろうね。何をいまさら、のていたらく。2戦目、中国戦は誰もが予想した通りに(ドイツW杯予選での北朝鮮を思い出させるような)大荒れとなり、中国選手たちはもちろん、中国のサポーターを含めたメディアからの批判が相当だろうなー、と思わせるゲームに終わってしまいました。(参照:東アジアの危機ー宇都宮徹壱)
中国はもっと進化できるはずのチームなのに残念...ですが、こういう荒れたゲームになることも予測し得たはずで、そうさせないための戦術を岡田が展開せず、選手たちにもいなせるだけの技術がなかった、ということだけははっきりしました。

最後の韓国戦だけはサッカーらしいサッカーでホッとしましたが、これって、90年代?の感慨は拭えず。加地を左に、今野をCBに、橋本を右に、田代のワントップ、そして内田を使い続けて....負傷者が続出したので窮余の策、という部分もいくらかはあったのでしょうが、岡田監督が何をどうしたいのかいっさい見えてこず。恐らくスカウティングの段階で日本の右(内田)が弱点だ気づいていた韓国に対しての何も指示しなかったのでしょうね。中村憲剛も橋本も、内田のフォローに回るばかり。

さて、次の代表戦は3月末、アウェイでバーレーンと。こんなことを言っちゃあアレだけど、岡田監督には、じっくりオシムと話をしてほしい、と思ってしまう今日この頃。

February 26, 2008 in football | | Comments (0) | TrackBack (3)

02/20/2008

「ダイング・アニマル」フィリップ・ロス

20代愛人との性愛に溺れる60代批評家・私(当然ロス自身?)の、嫉妬と性欲にがんじがらめになる過程が声に出して笑えるほど面白い。でもそこに滑稽はない。ユダヤ系アメリカ人作家でありながらユダヤ人に批判されることも多い辛辣家ロスが抉り出し、明るみに出すものの前には結局沈黙せざるをえない。自分の息子との関係をカラマーゾフの父子と対比させるあたり、その普遍的な業の深さにおいて。

愛人との行為を「私」はこう描く。

しかし、ここで私は絶頂に達する。幻のレッスンは終わり、しばらく私は情欲に病むこともない。これはイェイツだったか?「わが情念を焼きつくし給え、情欲に病む情念、死を背負う獣性に金縛りになった情念は、身のほどをわきまえぬ」。イェイツ。そうだ。「官能の妙音に捕われの身の者は」云々。(p96)

イェイツはドストエフスキーのカラマーゾフを読んでいたのかと思わせるような。年代的に可能性はある。読んでいなくても、「身のほどをわきまえぬ」という言い回しのどろりとした絶望的な深さにはフョードル・カラマーゾフを彷佛させるものがある。

ロスの小説は読みやすく、好きだ。といっても「さよならコロンバス」「背信の日々」「いつわり」「父の遺産」くらいしか読んでない。「コロンバス」なんて中学生の時だったからどんな話だったかさえ覚えていない。「ダイング・アニマル」の前作「ヒューマン・ステイン」を原作にしたロバート・ベントンの映画「白いカラス」(アンソニー・ホプキンス、ニコール・キッドマン主演)は傑作だったけど、原作はその厚さに恐れをなして読んでいない(多分、めっちゃくちゃ面白いと思う)。
全部読破したいですね。とくにフィリップ・ロスを語るなら欠かせないはずのいわゆる「ザッカーマン三部作」は。

 

February 20, 2008 in books | | Comments (0) | TrackBack (0)

02/15/2008

ピナ・バウシュ、表現の根底にあるもの。

Pina 先日録画していた、昨年の京都賞授与式に来日したピナ・バウシュと浅田彰の対談「ピナ・バウシュ ダンスも演劇も超えて」をやっと観る。
僕がピナ・バウシュ&ヴッパタール舞踏団の舞台を観たのは1986年のことで、モダンダンスの「モ」の字も知らなかった頃。でも、そのちょっと前にフェリーニの「そして船は行く」でピナはとても印象に残る演技をしていて、その浮遊するような不思議な存在感に惹かれていたので、ぜひとも観たいと思っていた。
当時の大阪での演目は「コンタクトホーフ」のみで、今になって思えば「カフェ・ミュラー」「春の祭典」を東京では演っていたことに嫉妬を覚えてしまう(笑)

テレビでの浅田との対談はどうでもよかったのだけど、ひとつ印象に残ったのは、ピナがとてもインタビューが苦手で、その理由が「表現することはすべてダンスの中にあるから。(ダンスでの表現でない限り)正しい表現を見つけられないことを恐れています」というようなことだった。
考えてみればあたりまえのこと。生粋のダンサーであり、コリオグラファーなのだから。

1999年の来日公演の時のパンフレットに浅田が書いている。(参照

彼女は、パフォーマーのひとりひとりに問いを投げかけ、過去の情動的な体験を再現するように求める。悲しかったときどのように泣き、喜んだときどのように笑ったか。ただし、何が原因で悲しんだり喜んだりしたのかは問われない。このようにして、物語的な意味から切り離された情動、つねに中間状態にある純粋状態の情動がサンプリングされ、他の情動とモンタージュされて、複雑なダイナミクスを作り上げていくのである。こうした手法が突き詰められていくとき、一定の物語はおろか、一定の音楽さえなしに、ひとつのパフォーマンスが構成されるようになるだろう。それは、当然ながら、特定の意味をもたず、物語として完結することがない。にもかかわらず、甘美にして残酷な情動のスペクトルによって、観る者を圧倒するのである。

ピナとダンサーの間の会話にもとくに意味はない。ただ情動を引き出すためにある会話。その過程の濃密さを思うだけで酔いそうになる。
次に観る機会を得た時、何を感じるのだろう。

 

February 15, 2008 in art | | Comments (2) | TrackBack (2)

02/12/2008

Alliance Graphique(アリアンス・グラフィック)

南京町の春節祭最終日、神戸カフェの先駆けとも言われているアリアンス・グラフィックでお茶してきました。元町に来るとたいていジャズを聴かせる「M&M」に入るのですけど、新規開拓ということで。
南京町の西の門から南にまっすぐ10分ほど。わかりやすい場所です。

旧居留地〜元町あたりの印象を代表するような、海岸ビルヂングというレトロなビルの一階、フランス料理屋さん然としたたたずまい。よく震災で落ちなかったな、と思えるほど時代を感じさせます。
Aliallance02
店内はそれほど広くありません。写真でもわかるように天井が高く、色調も落ち着いていて、音楽は静かにジャズがかかっていました。メニューに「フランス人に教えてもらったカレー」というのがあるように、神戸らしい異国の雰囲気がしっくり馴染んでいます。
夜はバー使いもできるようで、とにかく喧噪から抜け出してまったりトリップしたい人にうってつけの隠れ家的カフェ。客層もかなり高めで、普通に近所の70代の老人がお茶しに集う場所でもあるようなのがなんとなくうれしくなりますね。

 

February 12, 2008 in cafe | | Comments (0) | TrackBack (0)

02/07/2008

W杯3次予選、日本4-1タイ。

W杯三次予選初戦は先の親善試合ボスニア戦後半のメンバーで先発。山瀬をトップ下に置き、FWは高原、大久保の2枚、CBは阿部と中澤。闘莉王が負傷調整中の現在、DFはこれしかないでしょうけど、右SBが内田。
・・・これがよくわからない。岡田監督になって最初のチリ戦から内田で固定してますけど、そんなに代表格としての実力、ありますかね? テレビ観戦している限りスピードは無いしクロスの精度は平凡だし、キミではとても...なんですけど。アレックスが戻れば当然駒野が右に入るのでしょうけど、あとは今回なぜか合宿から見送られた梅崎、内田に出し抜かれた加地というオプションも考えられるはずで、右SBに関していえば、岡田監督の内田に対する盲信が解かれるのを待つしかないのでしょうかね。

結果だけ見れば4-1の快勝でしたけど、前半は見るところなし。遠藤の素晴らしいFKで先制するも、ほとんどその直後の縦パスプレーで追い付かれてしまうという醜態。「リスクを負って攻める」ということの裏にある落とし穴を絵に描いたように見せてくれ、超攻撃的であることをうたった岡田スタイルが一層わかりやすくなりました。
でもまあ、これはオシムも獲ったスタイルなワケで、両サイドが上がってしまった後の啓太ワンボランチへのケアの仕方は今後も課題になりそう。その辺、中澤がオシム直々に指導受けているかと思っていたのですが。あのタイミングのGK川口のポジショニングもちょっと問題あったのでは?

べったり引いたタイの、いったいエリア近辺に何人いるねん?!っていう状況をどう崩すかが焦点になったはずのゲーム、後半は一層のサイド攻撃徹底、ということで意志統一がなされた模様。駒野はまだしも内田のクロスがあれでは期待薄の中、結局左からの流れから、大久保が反応良く決めて1点、さらにセットプレーで2点を追加。タイは執拗にワイドに攻められてあきらかにエリア内がパニックに陥っているようで、CKからの4点目、巻のヘッドはその隙を突いたもの。なんでそこが空いてんねん?!って広大なスペースがゴール前に(笑) おまけにGKの股を抜くヘッドという(笑)(笑)

まだ決定的なチャンスに結び付けて行けるはずの流れの中でエリア外からのシュートを遠藤、憲剛、高原とフカし、VIPルームのオシムは激怒してるやろなー、と思いましたが、まあ、結果こそすべてのゲーム。
今後松井、俊輔、闘莉王が入ってきたときの有機性を期待しつつ、うまく帆は上がったなー、という感じ。

 

サッカーショップ加茂 日本代表 08-09 ユニフォーム

 

February 7, 2008 in football | | Comments (0) | TrackBack (0)

02/02/2008

ライフ・アフター・ゴッド/ダグラス・クープランド

クープランドの小説をまじめに読んだことはないのだけど、最近ウチの相方が原書を数冊購入して読む気満々のようなので、僕もちょっと読み返してみる気になり図書館から2冊(もちろん翻訳)、「ライフ・アフター・ゴッド」と「マイクロサーフス」を借りてきた。
Jpod_01 画像は相方が購入した「Jpod」の原書。ちょっと根気がいりそう。

ニュー・ロスト・ジェネレーションあるいはジェネレーションXの文学と言われているけど、日本文学でこれに相応する作品はあるのだろうか。90年代以降のものはほとんど読んできていないので断言できないけど、各時代の喪失感とその果てで主人公がさらに彼方を見据えた、W村上が代表するような小説以降、シーンらしいシーンが出現していないから、多分、無いのだろう。
っつうか、太宰の「無頼派」以降、シーンを特徴付ける表現が見当たらない。三島にしても、吉行にしても石原にしても「戦後派」と括られるだけで、その文学自体を特徴付けるものはないような気がするけど、どうなのだろう。

ニュー・ロスト・ジェネレーションには行為に伴う目的が無い。もっといえば、「行為」自体が無い。消費の果てで三無主義に徹している(もちろんそこに意志はない)のだからそれもそうだろう。(それにくらべればジェイ・マキナニーに代表されるロスト・ジェネレーションの方がまだ体温を感じられる。)
正直なところ、だからこそ読みにくい。シンパシーが感じられないから、その物語世界に入っていけないし、集中して読むのが難しい。

でもまあ、そこは読み方次第。エッセイとアフォリズムが入り交じったものととれば、そう、サーフするように読める。また、クープランド自身も小説界における自分の立ち位置を了解しているのだろう、時折挟まれる、ふと人生を見つめたときの警句めいたフレーズがめちゃくちゃカッコ良かったりもする。シニカルだしね。
例えば、短編集「ライフ・アフター・ゴッド」の中の「ゲティスバーグ」から。

若い時は、いつまで経っても、自分の人生だけは、まだまだ本格的に始動していない気がするものだ。人生は、いつまで経っても、次の週、次の月、次の年、そして次の休暇が終わってからやってくるもので、いつかずっと先に起こる出来事でもあるかのように思い込んでいる。それでも、いつしか突然、歳をとってしまい、予定していた人生などやってこないことにも気づく。そこでようやく自問自答を始めるようになる。「それなら、それまで存在してきたあの間奏曲(インターリュード)は一体、騒然としたあの乱痴気騒ぎは一体、何だったんだろう?」(p120)

その小説の中に「行為」自体はないけど、なんか真摯なものがあるよなー、と思いつつ読んでいます。

 

February 2, 2008 in books | | Comments (0) | TrackBack (0)