『きみのためのバラ』池澤夏樹
短編集。
実際のところ、9.11以前と以降において何がどう変わったかなんて、よくわからない。ただ、なし崩し的に何かが壊れていっている、というのは感じとして確かにあるのだけど。
でも、何かを契機としなくても、今の世の流れの速さはどうだ。
帯のフレーズは『永遠に消えない一瞬。恩寵のような邂逅』。でもそれは、ふと立ち止まってみなければ分からないもの。そういうものを掬いとる能力はあるいは歳を取る毎に強くなっていくものかもしれないけど。
表題作となった『きみのためのバラ』と、最初に収められている『都市生活』がいい。
あと、装丁も。このフォント以外、考えられないですね。
June 27, 2007 in books | Permalink
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Comments
カバーの濃い藍で刷ったバラと細い明朝体が素敵ですね。新潮社の単行本はいつも自社の装幀室がやっていて個人名は出ませんが、時々はっとするような装幀があります。数年前に出た舞城王太郎『阿修羅ガール』なんかも強い印象が残ってます。
Posted by: 雄 | 4 Jul 2007 10:19:49
>雄さま
新潮の装幀室は派手さはないけど、ほんとにかっちりしていて優美な仕事をしますよね。どんな規模なんでしょう。ちょっとあこがれたりします。
Posted by: kiku | 5 Jul 2007 00:06:29