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07/18/2006

『美しい人』

予備知識なく観た。シシー・スペイセク、グレン・クローズ、ダコタ・ファニング(!)が出ている事も知らなかったし、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥが製作総指揮をやっているなんてエンドロールが出てくるまで知らなかった。撮ったロドリゴ・マルケスの『彼女を見ればわかること』は観ていたのだけど、まさかガルシア・マルケスの息子だなんて。

9編のオムニバス。1編目の『サンドラ』の途中から、あれっ? と思ったけど、結局一番驚いたのは9編すべてワンシーン・ワンカットで撮られている、ということでした。最近の映画ではガス・ヴァン・サントの『エレファント』の長回しに若さを持て余して気付かないうちに火傷してしまうというような酩酊の感覚を覚えたけど、この『美しい人』ではなんというのだろう、『ローナ』の章での "life goes on" という台詞にワンシーン・ワンカットの意義があるなあとしみじみ思ってしまった。なんか、チェホフやなあ、ってさ。刹那的だけどそれぞれの諦観がリアルに息づいていて、その息づかいをせつないと思わせる。2章目『ダイアナ』なんかその最たるもの。
そんな長回し。
最終章、グレン・クローズの "maggie" の台詞、"we move on, ....we go on" がこの映画のすべて。意味を求めるのは儚いですね。

そういえば "life goes on" ってイニャリトゥの "21g" の中でショーン・ペンがつぶやく台詞だし、ペンの奥方は2章目の『ダイアナ』として出演しているし、いろいろと繋がっている映画なのでした。

オフィシャルを見てみたらロドリゴ・マルケスはヘミングウェイ、チェホフ、カーヴァーの小説の熱烈なファンのようで、納得。カーヴァーの短編集『ショートカッツ』を撮ったアルトマンはこの映画をどう評しているのだろう。

July 18, 2006 in films |

Comments

kikuさん、こちらにもブログもっていたんだね。
この映画、友達にも紹介したんだ。
もしかしたら、来週の週末みにいくかも。
二人とも子供ありだけど、お互い旦那に預けてね(笑)
もう一つ彼女との映画の候補が『幸せのポートレイト』
Sex and the cityの主人公の女性(名前どわすれ!)が
でている映画なんだけれど知ってる??
まっ、どちらかの映画を観にいくことは確かどす★

Posted by: 染谷水音 | 20 Jul 2006 01:12:14

TBありがとうございます。
人って、いろんなものを諦めたり、失くしたり、足掻いたり、やっぱり無理だったり、希望持ったり捨てたり、嘆いたり、諸々だけどでも生きてるってそういうことで、とても愛おしいことだと思いました。
DVDが出るのをすでに楽しみにしていたりします。

Posted by: kiku | 20 Jul 2006 02:45:20

>染谷さま
こんばんは。
どうも、kiku違いのようなのですけど(汗
私もここの他にライブドアにブログを持っていますけど、
そこは1年以上アップしていませんし。
あまり期待せずに平生の気分で観てください。人生って、まあ、こんなこともあるよなって局面がちらほらしているだけなので。
それでもある意味で胸をわしづかみにされる映画です。

Posted by: kiku | 21 Jul 2006 00:20:19

>kikuさま
恐れ入ります。ここでこうして同じハンドルネームに当たるとは思いもしませんでした。
どれをとっても人生なんですよね。だからいつも一瞬を意識して大事にしていきたいのですけど、なかなか、ね。
同じく、DVDで見直すことになりそうです。

Posted by: kiku | 21 Jul 2006 00:26:30

あっ、申し訳ありませんでした!!
「たまごのひび」のkikuさんがもう一つブログもっているのかと
思って、カジュアルにコメントしちゃいました(汗)

Posted by: 染谷水音 | 24 Jul 2006 16:40:47

>染谷さま
いえいえ、お気になさらずに。
確かに、いやー、フランクな人だなーと思いましたけど(笑)
懲りずにまた覗いてみてくださいね。

Posted by: kiku | 24 Jul 2006 23:23:05

この映画、リアルな空気感がツボでした。改めて、女について考えさせられました。
>相手のどんな愚かさも受け入れることのできる者たちが
>強いんです
広い心で人と接するというのは、なかなか難しいことですが、お互い補いあえる関係が理想ですね。まだまだ若輩者ですが、これからもビシビシ鋭いコメントをよろしくお願いします。

Posted by: Ako | 17 Aug 2006 19:19:24

さすが、kikuさんの映画の観かたはいつもアダルトですね。ワンシーン・ワンカットの撮り方は、瞬間的なリアリティとその後も続いていく彼女たちの人生を興味深く想像させる、上手い演出でしたね。一筋縄ではいかない感じがすごく面白かったし、俳優の存在感を十二分に堪能できました。

>結局、相手のどんな愚かさも受け入れることのできる者たちが
>強いんですよね。
そうですね。それが一番難しいことでもあり、人と関係を築く上では自己主張よりも大事なことですね。私はまだまだ修行が足りません。

Posted by: Ako | 17 Aug 2006 19:37:00

>Akoさま
コメントは承認制にしているのでアップまでしばし時間がかかります。お許しくださいませ。
僕の映画の見方がアダルトだなんて、多分、ちょっと誤解してはると思います(汗
誰もが書くような事を書いてしまわないようにただ気を衒っているだけなのです。

>広い心で人と接するというのは、なかなか難しいことですが、お互い補いあえる関係が理想ですね。
多分、いくつかの修羅場をくぐり抜けて、そこでちゃんと学んでいたらできることなのでしょうけど。
僕にはムリです(笑)

Posted by: kiku | 18 Aug 2006 00:16:02

びっくり!ごめんなさい!
コメントが反映されていないと勘違いして、2回も、ついでに自分のところでも、計3回もkikuさんへの似たようなコメントを書いちゃいました。
しつこい奴だと思わないで下さいね!!

Posted by: Ako | 22 Aug 2006 01:07:26

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