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09/21/2008

「TOKYO!」

レオス・カラックス9年ぶり。次は何年後になることか。

どうしてまたミシェル・ゴンドリー、カラックス、ボン・ジュノの3人?ってコラボ。ボン・ジュノの過去の作品は未見なので決めつけられないけど、プロデューサーのいったいどういう好みよ?って思いますよね。少なくともゴンドリーとカラックスってどこにも相容れるものが無い。「恋愛睡眠のすすめ」と「ポーラX」のどこに?それを、ボン・ジュノがどう媒介している?

案の定、「東京」 ってコンセプトがあっただけのオムニバスでした。それぞれに楽しめたのですけど、まあむしろカラックスひとりに "メルド" 短編3本をやってもらう方がよっぽど... というオムニバス。オムニバスって形態を悪用しているだけとしか思えない。少し形態は違うけど、近年のオムニバス映画の最高峰、イニャリトゥの「アモーレス・ペロス」に比べればオコチャマのままごと的完成度でした。

で、まずゴンドリーの「インテリア・デザイン」。これはこれでゴンドリーらしく、この世代の空気を掬い取る手腕はさすが、と思わせて軽妙、ナイーヴ。主人公藤谷文子のゆらぎの描写がリアルでした。いい女優さんですね。加瀬亮っていうのはよくわからないのですけど、それはまたゴンドリーの狙いの範囲内だったのでしょう。個人的には大森南朋に期待していたのですが、チョイ役で残念。

カラックスの「メルド」。9年も沈黙していたわりには「ポーラX」と何も変わりないですね。「ポンヌフ」から「ポーラX」までたどり着くのに8年かかっていますから次はそれ以上なんでしょうか。Carax02
カメラマンのジャン=イブ・エスコフィエに去られて以来映像美としてカラックス作品を楽しめることはなくなったけど、「ポーラX」からの土臭い、なんとなくロシアっぽい質感は健在。「ノートルダムのせむし男」を思わせるドニ・ラヴァンの役作りには感服させられるし、カラックスの自分自身の自嘲めいた告白を見当違いの物語に被せた神経症的な作りにも笑えるところはある。なんでまたカラックスほどの作家がこんな...という結果にはなったけど、「映画を撮るという行為は、きわめて個人的なものだと思っているんだ」とさらっと言うだけあって天上天下唯我独尊的な、たとえばジョナス・メカス的なそれとはかけ離れた極北をいつかまたきっと見せてそれはそれで楽しませてくれるのだろう、と期待しておく。
カラックスファンのスタンスはちょっと独特なんである(笑)

3本目、ボン・ジュノの「シェイキング東京」。普通だったらこの短編が一番面白かったかもしれない。香川照之は武田鉄矢が憑依したとしか思えない力の入りっぷり。竹中直人は、ボン・ジュノによっぽど気に入られているんだろうな、もう、好き勝手し放題の暴走っぷり。ディテールの作り込み方が引きこもり青年という設定らしく、整然と積み重ねられたデリバリー・ピザのケースがひとつだけ逆さまになっていることを蒼井優に指摘されるシーンとか、数年ぶりに外に出てツタの絡まる自転車を引っ張りだそうと苦闘するシーンとか、ほんとアジアの映画青年の短編だなあと笑わせられた。
だけど、それだけなんですよね。蒼井優という女優の演技を初めて観たのだけど、これだけ監督の意図に適った、一瞬の目の動きとかで空気を作れる演技をしているのに、もったいないなー、と。この枠内ではこうするしかなかったということなのだろうし仕方ないとはいえ。引きこもり青年の恋の行方は最後まで描写されて然り、の題材じゃないかと思うのですけどねー。
残念。

 

September 21, 2008 in films | | Comments (0) | TrackBack (0)

09/07/2008

カフェ "Stove"

日本一焼き鳥屋の多い、カフェ不毛の地、大阪市福島区にやっとカフェらしいカフェができました。コーヒー通によく知られた喫茶店は Bahnhof とかあるんですけどなぜかカフェは未だに、の土地に、今月やっと。

で、先週末、近所の商店街の中にある Stove に早速。プレオープン3日目でしたか。入り口の佇まいからしてロハスな感じで、今どきのゆるーい雰囲気満点。壁の塗りっぱなしな感じとか、天井の梁の打ちっぱなしな感じとか。まだ施工中?ってあしらいがそこかしこに。いいですねー。Stove02_2

残念なことに、禁煙。コーヒー好きにはつらいとこ。あと、メニューはほんとにカフェらしくコーヒー紅茶メイン(チャイがないのはほんと残念)、他にはトーストメニューだけなので、カフェゴハンは望めません。場所柄的にも近所のおばちゃん達が集ってお茶、という使われ方メインになりそう。
カフェ好きにはもっとこう、差別化できるここならではのものが欲しいのですが。。。

でもまあ、これで拍車がかかって、この商店街の中にも2軒、3軒と増えてくれれば、と願うばかり。
Stove05

September 7, 2008 in cafe | | Comments (2) | TrackBack (0)

09/04/2008

高野山避暑逃亡記その2。

遅くなってしまったけど、高野山レポ続き。
宿坊は「高野山成福院」。普通の旅館と何ら変わらないのですが、いやー、部屋からの中庭の眺めが絶景。これは秋の紅葉は相当だろうな。。と思ったのですが、案の定もう既に予約が入っているそうで。リピーターが多いのでしょうね。察します。
部屋の名前が「メーミョウ」というので、これはどういう意味ですか?って案内してくれた修行僧に訊いたのですが、残念、わかりません、とのことでした。
Kouyasan_18
夕食は精進料理でこそあれ、豪華。っつうか、僕にはちょっと多かった。写真は並べられている途中のもので、あと小鉢が3つ(Flickrにアップ済み)。お盆の時期らしく秋の味がぴりっと効いて、いやー、美味でした。

Kouyasan_26
翌朝、枕が変わると眠れないたちで案の定寝不足。早朝のお勤めに参加するつもりだったのだけどとてもとても、でパス。
が....なんと6時半には修行僧たちが布団を上げにきましたよ(笑)
朝食はいたって質素なものでしたけど、日本人バンザイ!的で何より。ほんと美味しかった。

にしてもこのシーズンとは無関係に、ネット割引が効いてお一人様1万円を切るっていうのはちょっと下界の尺度では信じ固いと言うか何と言うか。
というわけでチェックアウトして、この日は西へ。
龍泉院、福智院をさらっと見て、総本山金剛峯寺へ。狩野探斎らの襖絵を眺め曼荼羅絵を眺めお茶をいただき、木と畳の匂いをかぎ...

いかんせん暑過ぎ、睡眠不足もあってかなりの疲労だったのだけど、タイミングよく滑り込んできたバスに乗って西の果て、大門へ。
遠く淡路島を眺め、一服だけでてくてく東に戻り、金堂、根本大塔で拝観し、観光協会のあたりまで戻ってきてお昼ゴハン、で終了、下界へ戻る。

避暑に行ったつもりが、下界となんら変わりない酷暑の天上界。でも朝方は20℃近くまで下がってさすが高野山。
もっと例えば渓流のせせらぎが聞こえて、子供達が駆けてくように遊んでて、その傍らを袈裟に身を包んだお坊さんが通り過ぎていって...というもっと田舎的な光景を期待していたのですが、いやあ、さすが世界遺産。よくも悪くも観光地化されてて、少し微妙な気分で帰ったのでした。Kouyasan_27

参照▶高野山避暑逃亡記その1。

September 4, 2008 in life | | Comments (0) | TrackBack (0)