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02/11/2007

いくつかのリアル。

朝起きてから『題名のない音楽会21』で村井祐児のクラリネットを聴いた後、HDDに録ってあったテレビ東京の『憧れの都へ イタリア感動‘音’紀行』を観る。期待していたから録画したのだけど、コンセプトのよくわからない番組だった。構成もなんだかなー、だったし、カメラワークも編集もほんまにプロの仕事? と思うくらいひどかった。ちょっと「世界ウルルン滞在記」に似た構成部分もあったので、その技術を盗めよ! っていうような。筧利夫が案内人やっているのに、もったいない。

ストラディバリの故郷クレモナで新進のヴァイオリニスト宮本笑里(のだめオケで弾いてるらしい。オーボエ奏者宮本文昭の娘)がバイオリン製作の短期留学(これも番組なんだけど)をするのを取材していながら、話は終盤になって唐突にヴェルディに収束し、え? そうなの? ってなもんである。結局、親切な美術館館長さんがストラディバリウスを聴かせてくれたことと、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の『最後の晩餐』が観れたところがハイライトだったかな。

ちなみに、バイオリン制作のブログとして、菊田ヴァイオリン工房が写真とともに素晴らしいです。いったいどーやってそんな制作過程の写真撮れるんだよ、と。セルフタイマーなのかな。時々入ってくる猫たちがほんとに自然で、生活の一部という感じが素敵です。

夜、FOXテレビをつけたらイニャリトゥの『21g』をやっていたのでびっくりする。ヘヴィな映画だし、DVDもあるし、ウチの相方が「ねえ、これ観ながらゴハン食べるの?」と聞いてきたのでやめておく。ほんの10分ほどだったけど、改めて、手持ちのカメラワークと増感処理されたフィルムの質感の素晴らしさにため息が出る。メキシコの空気の中で生活してきた人のセンスなんだろうなーと勝手に納得する。湿度のことを考えれば、日本映画であの独特の乾いたリアルさを出すのはまず無理だろう。乾いているんだけど、それだけにイニャリトゥ映画の中で人々の絡み合う情念は、傷を開いて生々しい。

『バベル』が待ちきれないが、イニャリトゥにはアカデミー賞は獲って欲しくないような気もする(汗

日曜夜は例によって「うるるん」だけど、今回のカンボジアでの地雷探索・撤去編は僕的にはヒット。現在は内戦があるわけでもないのに自分の命をかけて地雷撤去し、畑を開墾していかなければいけない村人たちの話。この種のリアルは僕らには現実味がないからこそ迫ってくるリアルなわけで、ちょっと想像すると、いや、マジで恐い。
地雷といえば真っ先に思い出すのはベトナム戦争を舞台にしたティム・オブライエンの『本当の戦争の話をしよう』という小説だけど、これは情緒を排した作風が逆に生々しくてリアルでした。恐らくあの時代の空気にもっとも親密な作家村上春樹が訳したことが大正解だったのですね。


February 11, 2007 in life |

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FOXテレビの放送した番組本編や予告などがビデオアップロードサービス、MySpace Video に 提供され提携が進んでいる。MySpace の社員は300人ほどで、2006年は月に2000万ドルの 収入を見込んでいます。 [Read More]

Tracked on 25 Feb 2007 19:24:07

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