「ぼくには数字が風景に見える」ダニエル・タメット
π(パイ)の数字のなかでいちばん有名な部分は「ファインマン・ポイント」と呼ばれる、小数点以下762行から767行までの「・・・・999999・・・・」だ。この名は物理学者のリチャード・ファインマンにちなんでつけられた。ファインマンはπの数字を覚えるのが好きで、9が並んだこの場所まで覚え、最後にこう言って終ったのだ。「・・・・9(ナイン)9,9,9,9,9、その他いろいろ(and so on)」。ファインマン・ポイントの風景はとても美しい。紺色の光の分厚い縁取りが見える。(p207)
「ぼくには数字が風景に見える」はサヴァン症候群で、アスペルガー症候群でもあるダニエル・タメットの手記。筆者は円周率22,500桁を諳んじ、10カ国語を話す。
下の絵は筆者に見える、πの小数点以下100桁までの風景。
サヴァン症候群はダスティン・ホフマンの「レインマン」が公開されて世に知られるようになった。アスペルガーも脳の発達障害とされているけど、精神科医の山登敬之氏が解説で書いているように、脳の発達の仕方が大多数とは異なっている、という印象の方が強い。考えようによっては、アスペルガーと診断される人が普通で、大多数が障害者だ、ということもできる。たまたま社会は大多数の人が暮らしやすいようにできているからそうはならないのだけど。
数字だけに限らず、筆者には文字が色、形等、質感を伴う。
yoghurt(ヨーグルト)は黄色、video(ビデオ)は紫(もしかしたらviolet「紫」とつながっているのかもしれない)、gate(門)は緑。
(中略)
white(白)は青い色の言葉で、orange(オレンジ)は氷のように澄んで輝いている。four(4)は青い色の言葉だが、数字としては鋭いイメージだ。(p22)
なんとなく、ランボーの「地獄の一季」のなかの一節を思い出した。
September 24, 2007 in books | Permalink
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