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02/27/2008

「名もなきアフリカの地で」

観ようと思っていたわけでもないけど、深夜テレビを観ていたら放映されていて、その映像の美しさに引き込まれ、見入った。
2001年アカデミー賞外国語映画賞受賞のドイツ映画。

第二次大戦下のドイツ、ナチスからの迫害から逃れるために故郷を去りケニアに渡ったユダヤ人家族の物語。
この時代のドイツの暗く透徹したような空気感を、フィルム処理として「銀残し」を使ったのじゃないかと思わせる青白い映像で再現させ、電気の通じていないケニアの家ではランプの明かりだけで黒人たちの肌を息づかせている。もう、ほんとに美しい映像。

が、この映画がアカデミー賞まで獲ったことには疑問。物語自体の壮大さに比較して、主人公たちの心理描写におけるカットつなぎに無理がある。時折独白を交えてつなげようとしているけど、脚本の全体が練られていないからシーンの一つ一つには際立つものがあっても、通して観るとところどころ綻びが目立つ。スケールの大きさに、脚本が追い付いていない感じ。せっかく皆素晴らしい演技を見せているのに、残念。Nowhere

アフリカを舞台にした映画ではシドニー・ポラックの「愛と哀しみの果て」(しかしひどい邦題だね)という傑作があったけど、題材が違うとはいえ、構成の緻密さにおいては圧倒的にポラック作品が上。イーストウッドの「ホワイトハンター ブラックハート」は面白かったけど、これもポラック作品にはおよばない。昨年の「ブラック・ダイヤモンド」は観ていないけど、アフリカを舞台にして先進国が映画を撮るのは、ちょっとまだリスクが高いのかな、と感じさせた。

公式ホームページ:名もなきアフリカの地で

 

February 27, 2008 in films |

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