『リリィ』、『かもめ』

クロード・ミレールの好み爆裂、リュディヴィーヌ・サニエのロリータ・フェイスにはアンバランスに過ぎる豊満なボディ。タブーという言葉が似合いすぎる。シャルロット・ゲーンズブールより犯罪的な女優。この揺らぎは何なのだろう。

サニエはフランソワ・オゾンのお気に入りらしいのだけど、僕は食わず嫌いでオゾンの映画は『まぼろし』しか観ていない。演技派ではない。存在の危うさにおいて生き残れるかもしれない。ゴダールの『軽蔑』でのブリジット・バルドーを思わせたりもする。

まさかチェーホフの『かもめ』のニーナをこんな娘が演るとはね。現代に設定すればこうなるのか。妄想と自意識過剰の暴走。
一方、現代版トレープレフを演ったのはロバンソン・ステヴナン。....おいおい、ジョニー・デップやないか、と思ったのですが、クリスチャン・スレーターであったりリバー・フェニックスであったり。

ナイーヴで、豊饒な群像劇。南仏（だよな？）を舞台にしたのが正解。ジャック・ドワイヨンの作為よりエリック・ロメールの放任を追従する。陽光の撮り方は過剰なロメールといった趣だし。
カラックスとビノシュへのオマージュもあったかもしれない。

ミシェル・ピコリの出演には心底笑った。

オフィシャルが見つからないので、とりあえず→『リリィ』