ブエノスアイレス、『僕のスウィング』
久しぶりに土曜に休みが取れて、モーニングショーの『僕と未来とブエノスアイレス』を観に行く。ちょっと気になっていたのは『モーターサイクル・ダイアリーズ』の共同制作者が監督したということだけ。予備知識は他にはゼロ。
舞台はブエノスアイレスのオンセ地区にあるガレリア(商店街)。老いも若きもモラトリアムでゆらゆらしているようで、商売的にはあまりぱっとしない一画。なんか、大阪は船場の、ちょっとディープでアナクロな商店街の趣きといったらいいか。彼らの主体性を探るように不安定な手持ちのカメラが移動を続けて止まない。
特になんていうことはない。淡々と「僕はどこにいるべきか」の模索が浮遊しているばかり。それが不思議に心地よいんだけどね。あんなこともあったよな、と笑って振り返ることのできる人生だったら別にそれでいいんじゃない? ってかなりポジティヴ。それを象徴していたのは昔ナチの時代にポーランドでクラブシンガーをしていたおばあちゃんでした。
全編を通じて流れる、サティのグノシェンヌをなぞるような音楽がよかったけど、なにも邦題に「ブエノスアイレス」って言葉をつけることもないんじゃ....
お昼は梅田スカイビルの地下でカツ丼を食べて帰宅。調子が悪いのか、ウチの相方はまだ寝ている。モーツアルトのレコードを気の向くだけの音量でかけ続ける。内田光子とバックハウス。あと、バルトークのコンチェルトを1曲。勢いでiTunesで昔一番気に入っていたバーンスタインのモーツアルトを購入する。FM録音したカセットテープがどうしても見つからなくってさ。
相方が起きて来て、「もう2時やで」といったら「だから何?」と返されてワケの分からない気分になる。
夕方近くになってアップルのコールセンターに今はほぼ亡きiBookの症状を説明し、ピックアップデリバリーを依頼する。3度電話したのだけど、3人3様の対応があって、それなりに面白かった。しまいには購入時に増設したメモリの取り外しまで体験させてくれたしね。僕的には貴重な体験だった。
6時からプールで泳ぐ。先週程のカラダの重さはなかったけど、ほんとに疲労がたまっているだろうから流すように淡々と泳ぎ、トレッドミルマシンでも9〜10k/hで何も考えずただ淡々と走る。
帰宅して遅い夕食後、ツタヤでトニー・ガトリフの『僕のスウィング』を借りて観る。今月頭に観た『愛より強い旅』同様、特にこれといった脚本もない。なんつうか、映画的な作為がいっさい無い。もしエリック・ロメールがジプシーだったらこんな映画を撮るよな、という感じで。『海辺のポーリーヌ』を思い出したりしてさ。
泥酔した医者が「鉄条網をみるとムカつくんだ」と言ったシーンにはドキッとした。そういう背景を持った血なんだね、ガトリフは。
『愛より〜』よりはずっとすんなり映画の中に入っていけてよかった。音楽も。女だけの演奏会の練習のシーンには鳥肌が立ちました。
January 29, 2006 in films | Permalink
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Comments
ごめんなさ〜い。
ほんとに。バシバシ更新してらっしゃる。どこ見てたんだろ〜。
『僕と未来とブエノスアイレス』私も観ました。素朴な映画だったけど、主人公が父親と再会するシーンなんてやけにリアルで、面白かったです。
梅田スカイビル、なつかしいです。大阪にいる頃勤めていたのが福島だったので、大好きなお店がたくさんありました。「ひまわり」とか「スマイル」とかっていうバーによく通ってたんだけど、ご存知ですか?あと、朝日放送の向かいにあった眼鏡屋は常連だったんだけど、今もあるのかな。。。
またお邪魔します。
Posted by: Ako | 27 Feb 2006 22:51:36
>Akoさま
「スマイル」は知らないのですけど、「ひまわり」って「ソレイユ」のことですかね。2階にあるバー。照明がぽつんぽつんといい感じで。2回ほど行きました。
どっちかというと初老のうらぶれた感じのバーテンがひとりでやっているオーセンティック崩れのバーがいいんですけど、知りませんか?(笑)一人でだまーって飲んでいても抵抗を感じない、福島近辺で気に入るバーが見つかりません。
眼鏡屋さん? 今度注意して見てみますね。
Posted by: kiku | 27 Feb 2006 23:07:43