『プルートで朝食を』
主人公パトリック ”キトゥン” ブレイデンの、悲劇を喜劇たらしめるような、人物造形におけるニール・ジョーダンのまなざしが優しい。IRAに密接した立場にいながらここまで自分を見失うことなく(拘置所での尋問!)、思いやりを忘れることもない主人公。加害者側の弱さとセクシュアルロールにおける弱さを知らなければ撮れないネタか。『モナリザ』『クライングゲーム』を撮ったニール・ジョーダンだからこそ。
キリアン・マーフィはミスキャストだろうと思いながら観ていたのだけど(疲労のせいか、前半のうち、3分の2近くうとうとしてしまった)、やっと実の母親に会えたあたりから役にしっくり馴染んだ感じがしました。『プリシラ』のガイ・ピアースだったらもっと喜劇を喜劇として演じられたかもしれないけど、ナイーヴさの質においてそれはジョーダンの狙うところではなかったか。
もう一度観て、ゆっくり反芻したい映画。
いきなりブライアン・フェリーが出てきてびっくりしましたよ。
August 16, 2006 in films | Permalink
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