« ACL準決勝アウェイ、オジェック無策。 | Main | 城南一和の思惑が空転する。 »

10/05/2007

「美しき日本の残像」、序破急とクロール。

アレックス・カー著(1993年)。
著者のオックスフォード時代(1970年代半ば)、日本(京都亀岡)でのあるセミナーに参加してお茶、能、武道など日本芸術を体験、序破急、残心のリズムに出会う。(ちなみに、氏のオックスフォード時代のチベット語の先生の奥さんが、現在渦中の人、スー・チー女史だそうです)

お茶の茶杓を袱紗(ふくさ)でさばく時に、先ずゆっくりふいて(序)、茶杓の中辺りで少し速めて(破)、そしてすっと早くふき取る(急)
(中略)
最後に袱紗が茶杓のてっぺんから離れる瞬間は「残心」で、「今までの思いを残し、ゼロに戻り、次の序破急のリズムに入ります」(p96)

そしてカーは、それがお茶ばかりでなく能や武道にも通じ、あらゆる伝統芸術の下に流れていることを発見することになるのだけど、このくだりを読んだ時、あー、これは水泳のクロールのリズムだなあ...とちょっとびっくりした。考えてみれば、バタフライもブレスト(平泳ぎ)も背泳も、このリズムを持っている。
水泳ビギナーはこのリズムをつかめさえすれば、もう恐いものはないだろう(と思う)。

クロールでいえば、エントリー(手の入水)からキャッチ(水をつかみ、かき始めるところ)に入るまでが「序」。そこから水をかいて推進力を得るのがプルの状態。これが「破」。
そしてざっぱあ...と息継ぎしながらひじを抜いてフィニッシュするのが「急」。
「残心」で、エントリーしていくのです。
分かりやすく、描いてみました。

 

Swim

ね、このリズムでしょ? 深いよ、伝統芸術の奥義。
でもね、泳ぎながら序、破、急、残心、なんて思ったら、逆にリズムに乗れなくなってしまうんですよね(笑) 実際は、反対の腕もふたつずつぐらいズレて同じリズムを刻んでいるわけで。

 

October 5, 2007 in books |

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
https://www.typepad.com/services/trackback/6a0120a841e0c2970b01287744cf79970c

Listed below are links to weblogs that reference 「美しき日本の残像」、序破急とクロール。:

» 日本についてー日本のオーラとは? from 日本の達人
生きる力で語るホリエモン、日本の主体性、物質主義、価値観、政治家、因果の法則、靖国問題、カルマなど、江原さんがさまざまな日本の問題について語って・・ [Read More]

Tracked on 6 Oct 2007 04:40:38

Comments

うーん、おもしろい!
この夏、クロールがうまく泳げないという先輩に
「泳ぎはリズムなんです!」と、
毎晩ビール片手にそのリズムを語っていたのですが、
来週は「泳ぎは伝統芸能と一緒です!」にしてみます。

余計掴めなくなるかもしれないけど、しょせん他人事だ。
ふっふっふ。

Posted by: タコ | 7 Oct 2007 15:17:54

>タコさま
多人事なら、なんとでも(笑)
でもねー、ほんとリズムは肝要。ローリングもそうですしね。週2、3時間程度のスイムでも、ずっと続けていればいつかふっとコレがわかるようになるんですよね。不思議。

Posted by: kiku | 7 Oct 2007 22:51:56

今さらながら、昨日「美しき日本の残像」買いました。読んでます。

Posted by: タコ | 19 Feb 2008 08:44:01

>タコさま
これで先輩へのクロール伝授が上手くいくことを願っております(笑)

Posted by: kiku | 20 Feb 2008 01:46:12

The comments to this entry are closed.