月にまつわる映画2編、モリッシーの「ムーン・リヴァー」
アカデミー賞授賞式が行われる前後週は、各TV局が特集で過去の受賞作品を放映してくれて楽しめる。というわけで最近録画した、「月」が印象的な映画を2本続けて観た。いずれも過去に観ているものだけど。ブレイク・エドワーズの「ティファニーで朝食を」とノーマン・ジュイソンの「月の輝く夜に」。
そういえば先月末の満月は凄かった。みんなそう感じていたようで、Flickrでも世界中から満月の写真がアップされていた。
「月の輝く夜に」はタイトル通り満月の輝く夜に、主人公たちがそろいも揃って発情し、大変身を遂げるロマンチックコメディ。といっていいんでしょうかね。ホラーじゃないんだけど(笑)
メトロポリタンでプッチーニの「ラ・ボエーム」を鑑賞した後、主人公シェールがニコラス・ケイジのアパートの前で誘われてためらうシーンは美しい。底冷えのするブルックリンの夜風になびいて揺れるシェールの黒髪。もうこれは映画史に残る名シーンじゃないかと。メイクアップ賞を獲っていないのが不思議なくらい。つっか、アカデミーメイクアップ賞ってありましたよね?
出演者皆が素晴らしい演技でいちいち堪能してしまうんだけど、どれこもれも脚本の為せる技。
あと、ブルックリンの下町がほんと魅力的に映し出されていて、それだけでも観る価値あるんじゃないかと。
「ティファニーで朝食を」では月の出てくるシーンはない。オードリー・ヘプバーンがアパートの窓の桟に腰掛けて、ギターを弾きながら「ムーン・リヴァー」を歌うだけだ。ヘンリー・マンシーニはこの曲で前年の「酒とバラの日々」に続きアカデミー主題歌賞を獲得。ちょっと我が強くてかなり背伸びしている感のある主人公にオードリーのはかなげな歌声はキャラクター造形のうえでとても重要な役割を果たしている。
それでも映画自体はほんとに他愛もないこれまたロマンチックコメディ。脚本にはさっぱりキレがないし相手役のジョージ・ペパードがひどい大根っぷりなので、マンシーニのこの曲がなければオードリー・ヘプバーンでも持ちこたえられなかったかもしれない。それだけ素晴らしい曲。
「ムーン・リヴァー」といえばフランク・シナトラやアンディ・ウイリアムスの歌唱が有名だけど、ちょっと珍しいところでモリッシーが歌ったものを紹介。モリッシーといえば The Smiths ですが、スミスについて書くことは、どれだけ言葉を尽くしても全然足りないと思えてしまって、難しい。だからいつも躊躇してしまう。いつかきっとと、ずーっと思い続けているのだけど。
どうしてモリッシーがこの曲を、シングル "Now My Heart Is Full" の中に収めたのかは知りません。ナンシー・シナトラのファンでもあるようで、そのつながりから、取り上げたのでしょうか。
オードリーの唄うはかなくセンチメンタルな歌とは違って、モリッシーのそれには神々しさが同居しています。間奏は、阿鼻叫喚地獄絵図かよこれ、というような。初めて聴いたときは鳥肌立ちました。
Moon River / Morrissey
YouTube でもモリッシーのはあがっていますが、シングルに収められたものに比べれば曲の雰囲気は格段に落ちます。でも、ちょっと面白いです。
→Youtube
あと、いろんな演奏の寄せ集め編集版。これはちょっと感動的でした。
March 6, 2008 in music | Permalink
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