「黒い家」ブロガー試写会。
梅田の角川事務所でのブロガー試写会にて。
ソウルフル・ダークネス、とでもいうか。韓国映画なだけに。
貴志祐介の原作も、森田芳光の映画化作品も僕は未経験。監督シン・テラはこれで劇場デビュー。韓国映画は過去に2本しか観てないので、知っている俳優もいない。サイキック・ホラー、あるいはバイオレンス・スリラーということだけが前情報。原作は、保険金殺人の話。
始まって最初のほう、主人公が歩くさびれた田舎の暗く湿度のある空気は、人間の心の底にあるどろりとしたものを透かして伝え、素晴らしい。
が、サイキック・ホラー、あるいはバイオレンス・スリラーとしては弱かったように思う。
後半、タメをきかせた演出が作る、「シャイニング」で感じるような緊迫感はある。事件の本当の首謀者が分かってきたあたりからの仕掛けは予測もつかない。まさかそんな、の展開で畳み掛けてくる。いや、こんなんで驚いている場合じゃないんだよ、というような。
併せて、いろいろな過剰さがある。噴出するものを逆に抑え込もうとする演出の過剰さ、抑えた演技の中にちらちら見える過剰さ、スプラッター的な部分での過剰さ。
エンタテイメントでありながら、この過剰さがなにか、鼻につくような気がした。それは、物語を語る力の弱さだと感じる。
森田の作品が評価されたのは(観てなくてもたぶんそうなんだろうなと推測されるのだが)、結局物語を語る力によるものなのだろう。映像でみせるのだったら、いっそう脚本が練れていないと観客はついてこない。
スプラッターの力を借りた演出(R15指定なだけに)なので仕方ないのかもしれないけど、その辺が不満といえば不満。
公式サイト→「黒い家」
March 23, 2008 in films | Permalink | Comments (0) | TrackBack (0)