『ブラック・ダリア』ジェイムズ・エルロイ
ウチの相方がジェイムズ・エルロイの『ホワイト・ジャズ』を読んでいて、それにちょっと触発されて『ブラック・ダリア』を読んでいる。エルロイのLA暗黒史4部作『ブラック・ダリア』『LAコンフィデンシャル』『ビッグ・ノーウェア』『ホワイト・ジャズ』のうち、どれを読んでもよかったのだけど、とりあえず『ブラック・ダリア』は映画が来月公開されるってことで。
5年くらい前に読んだはずだが、あらすじはいいとして、細部はほとんど覚えていねーなー(笑)
暗黒4部作は、自分の母親が殺害(未解決)されたエルロイ自身の過去にバックグラウンドを持つ。直接結びつけるのはどうかと見る向きも多いけど、その過去は書き続けることのモチベーションでもあり、また書き続けることがエルロイ自身のアイデンティティを見いだす旅でもあるのだろう。
その第一作目にあたる『ブラック・ダリア』は1947年に起きた惨殺事件をベースにしている。っつうか、ブラック・ダリア事件に対するエルロイなりの解釈本か。ハードボイルドでもあるし、作家以前の立場における個人的な覚え書きともとれる。彼にとってこの事件は、自己を完全に解体させてしまってあらためて微動だにしない自己を構築させるのに格好のネタだったのかもしれない。
数十ページ読んだだけでもわかることだけど、映画『LAコンフィデンシャル』を好きな人なら『ブラック・ダリア』のケイ・レイクを映画の中ではスカーレット・ヨハンソンが演じていることにひどい違和感を覚えるだろう。まだ観ていない先からこんなこと言うのも不遜だろうけど、でも『LA』で高級娼婦を演じたキム・ベイシンガーの存在感を思えばそう言いたくもなるのだ。エルロイならではの女性造形をヨハンソンになぞることができるかッ!ってさ。
この違和感がいい意味で裏切られればいいのだけど。
監督はブライアン・デ・パルマだし、あまり期待しないでおこうかな。
September 26, 2006 in books | Permalink | Comments (5) | TrackBack (8)